森の生物の多様な生態を探ります

森林の生態系は樹木や動物、昆虫など多様な生物相で構成されています。
本分野の研究は、これら多様な生物の生態を主に植物の視点から解析し、森林における生物間相互作用の様式を明らかにする基礎科学的側面と、野生動物の管理や森林保護などの応用科学的側面をもっています。
生態学的手法及び遺伝学的手法により、植物の繁殖生態、動物の食性解析・行動生態・植生への影響・種子散布、昆虫の行動生態・寄主植物の利用様式に関する研究を行っています。

遺伝マーカーを用いたDNA電気泳動パターン

森林の更新過程と保全

フィールドワークと各種遺伝マーカーを用いて森林植物の更新過程や遺伝的特徴を明らかにすることで、 森林に対する人為インパクトが植物個体群に与える影響を解析し、適切な保全策を模索しています。



シカが自然に与える影響を探る

芦生研究林では、ニホンジカによる植生の改変・後退が進んでいます。
シカを排除する実験柵を設置し、シカによる採食圧を排除して、 植生の推移過程をシカの利用密度の違いで比較したり、植生の違いと昆虫などの他の動物との相互関係について調査しています。
シカ排除のための実験柵



カシノナガキクイムイシの寄主木選択のイメージ

ナラ枯れをもたらすキクイムシの生態

カシノナガキクイムシは病原菌を運搬し,ブナ科樹木の集団枯死 (ナラ枯れ)を引き起こします。
彼らが多様な森林においてどのように寄主木を効率的に探し出しているのか,被害木の解析からその選択様式を探っています。



絶滅危惧種の保全

様々な人間活動によって多くの動植物が絶滅の危機に瀕しています。
遺伝解析や生態調査により、絶滅危惧種の現状や絶滅に至る要因を明らかにし、より適切な保全策の検討を行っています。
様々な絶滅危惧種



ホオノキとムラサキツヤハナムグリ、脚に付着した花粉

植物にとって効率の良い送粉者は?

多くの植物は、昆虫に花粉を運搬してもらうことで繁殖を行っています。
どのような昆虫が植物によって都合が良いのか、訪花昆虫に付着した花粉粒を1粒ずつ遺伝解析することで、運搬される花粉粒の遺伝的性質を直接的に評価することを試みています。



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