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日時:2020年11月6日 (金) 16:00-17:00
場所:オンライン開催


全ゲノム解析から探るトゲウオ科魚類の適応進化と種分化
山崎曜 博士(国立遺伝学研究所 生態遺伝学研究室)
種分化は連続的な過程である.近年のゲノム解析により,遺伝子流動を伴っていたとしても,異なる環境への適応が2集団間の分化を開始させることが分かっている.いっぽうで,種分化の後期において,何が生殖隔離の完成を促進させるか,また自然選択と遺伝子浸透がどのようなゲノム分化パターンを形作るかはよくわかっていない.トゲウオ科魚類には様々な種分化段階のペアが含まれ,これまで多くの種分化ゲノム研究が成されてきた.しかしその多くは若い種を対象とし,生殖隔離が完成間際の種において,どのようにゲノムが分化しているかはほとんど調べられていない.そこで本発表では,同所的に生息し,雑種不稔を含む複数の強い生殖隔離機構を示すトミヨ属の2種(Pungitius sinensisPungitius pungitius)の全ゲノムを分析した研究を紹介する.参照ゲノム配列の構築,種分化デモグラフィの推定,そしてゲノム分化解析等の一連の解析を通じ,種分化後期に見られた特徴的なパターンについて議論する.加えて今行っている最新の研究についてもご紹介したい.