スペシャルセミナー情報

月に一度、第一線で活躍されている研究者をお招きしてスペシャルセミナーを開催しています。
関心のある方は是非ご参加ください。セミナー終了後には簡単な懇親会も行っております。


日時:2009年11月20日 16:00-
場所:京都大学農学部総合館W302室



希少種の残存集団の保全管理に関する保全遺伝学的アプローチ
― 希少樹木シデコブシの隔離地域・残存集団の全個体解析の例 ―
玉木 一郎氏(森林文化アカデミー)
 近年,集団数や集団を構成する個体数に著しい減少が生じ,絶滅が危惧されるよ うになった種では,遺伝的浮動や近交・外交弱勢等の遺伝的要因が集団の存続に 大きく影響を及ぼすため,遺伝的情報に基づいた残存集団の保全管理を行う必要 がある。とくに,残存する全個体の遺伝情報が取得可能なほど個体数が少ない場 合,これらの情報を保全管理にどう活用するのかが重要となる。このとき,
1)個体数が減少しすぎた小集団は他のどの集団からの個体を用いて再生すべきなの か?
2)残存する集団はどのような管理方針をとれば遺伝的多様性を維持して存 続させることができるのか?人為的な個体数の増加や環境の改善は必要なのか?
の以上2つが問題として生じる。本発表では希少樹木シデコブシの三重県に残存 する全12集団(内6個体以下の小集団が7つ)450個体のマイクロサテライト遺伝 子型データを用いて,個体単位の遺伝構造解析と個体数,繁殖個体数,移住率を 変化させたシミュレーションを行うことで上述の2つの問題について検討する。