日時:2014年2月20日 (木) 16:00-
場所:京都大学農学部総合館 W306
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末次健司さん (京都大学人間・環境研究科) |
ラン科植物は、世界中でおよそ3万種が確認されており、キク科と並んで被子植物の中で最も種数の多いグループの一つです。またその独特な花形態は、古くから多くの人々を魅了してきました。
ランの花の形態は花粉を媒介する昆虫の形態と密接な関係があるとされ、ラン科植物の著しい多様化は、送粉者の転換に伴うものであるという説が有力視されています。
にもかかわらず我が国を代表するラン科植物においても、どのような種類の昆虫によって送粉されているのか、自動自家受粉できるのかといった基礎的な受粉生態に関する情報のないものがほとんどです。
しかしラン科植物は、その人気の故、乱獲などの影響で、個体数が激変しているものも、少なくありません。実に日本に自生するランの70%以上が絶滅危惧種に数えられ、その比率が最も高い分類群となっています。 つまり危機的状況にある多くのラン科植物の保護を考える上でも、送粉者や種子食害者といった基礎的情報の価値はますます高まっていると言えます。 セミナーでは、日本に産するラン科植物が、受粉を達成するためにどのような適応を遂げているのか、また、具体的にどのような危機にさらされているのかを紹介したいと思います。 |