日時:2011年5月13日 16:00-
場所:京都大学農学部総合館W306室
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佐藤 拓哉 (次世代研究者育成センター 白眉プロジェクト 特定助教) |
寄生虫は自然界に普遍的に存在します。その種数はしばしば、全生物種の半数以上を
占めるといわれ、生物量としても相当な量である可能性が見出されつつあります。彼
らは生態系の中でどのような役割を担っているのでしょうか?この素朴な疑問に答え
ることは、自然科学研究として興味深いだけでなく、隠れた生物多様性の生態学的意
義を考えさせるという点で、応用的な分野にも重要な意味をもちます。
今回のセミナーでは、これまで見過ごされることの多かった寄生者が、生態系の中で
どのような役割を果たしうるかを簡単に紹介します。その上で、演者が発見した「寄
生者が駆動する森林−河川生態系間のエネルギー流」についてのこれまでの研究(着
想の経緯、定量化、一般性、群集/生態系における意義)とこれからの研究についてお
話します。複雑で多様な生活史をもつ寄生者が、複雑な生態系の中で果たす役割につ
いて深く理解するためには、研究分野をまたいだ様々な知識や研究アプローチを用い
る必要があると考えています。本セミナーを通して、皆さんと様々な議論をさせてい
ただけると幸いです。
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