日時: 2019年6月21日 (金) 16:00-17:00
場所:京都大学北部キャンパス 農学部総合館 W514室
自然科学研究における歴史資料の活用法 |
岡本 透 (森林総合研究所関西支所) |
近年、自然科学、人文科学の両分野から、人と自然との関わり方に関する研究が活発に行われている。関連した書籍の刊行も相次いでいる。その理由としては、日本のような狭い国土では、人の手が全く入らない手つかずの場所はほとんどないため、自然を対象にした研究を進めるにあたって人の影響を考えることは必須である、という考え方が再認識されていることが挙げられる。さらには、「現在」は常に「過去」の積み重ねの上に成り立っていると考えると、人の営みの歴史を理解することによって、研究対象とする場所の現在の姿をより鮮明に描くことができる、ということもあるのであろう。こうした観点に基づく研究は以前から行われてきた。ただし、最近目を引くのは、個別の分野で行う研究だけではなく、分野の垣根を越えた文理融合型の研究が積極的に進められていることである。自然科学的研究を進めるにあたり、これまで以上に歴史資料を有効に使うことが意識されているのだろう。今回のセミナーでは、私が携わってきた災害史、景観史、環境史に関連する研究の中で、歴史資料、とくに絵図・絵画・写真などからなる図像資料を用いた研究を主に紹介する。また、歴史資料を活用する際の注意点、歴史資料の探索のコツについてもお話ししたい。 |