過去のスペシャルセミナー情報

日時:2018年 7月27日 16:00-
場所:京都大学農学部総合館 W322号室


ゲノム進化の駆動力:遺伝子の水平転移はどのように生じるのだろうか?
小保方潤一 教授(京都府立大学 植物ゲノム情報学研究室 教授)
ゲノムや生物種を越えた遺伝子の転移は、地球上の生物の多様化に大きく寄与してきました。しかし、そもそも、プロモーターや転写の仕組みの異なるゲノムに飛び込んだ外来遺伝子たちは、どのようにして発現能を獲得してきたのでしょうか? 私たちは、葉緑体から核への遺伝子移動をモデルにして、この疑問に取り組んできました。今回の講演では、植物細胞を使った一種の進化実験の結果と、光合成をする有殻アメーバのゲノム解析の結果から得られた知見を基に、遺伝子の転移直後に生じる分子生物学的な現象と、それらが加速・固定されていく進化的な時間の中での現象をご紹介したいと思います。これらの研究の結果、転移遺伝子の転写活性化には、DNAの再編成にともなうクロマチンの可塑性、すなわちエピゲノムレベルでの変化が重要な役割を果たしていることが明らかになってきました。