過去のスペシャルセミナー情報

日時:2012年10月11日 16:00-
場所:京都大学農学部総合館W302号室



クモの円網の機能と環境認知に果たす役割
中田 兼介 博士 (京都女子大学 准教授)
 造網性クモは陸上生態系における主要な無脊椎動物捕食者で、網を持つようになったことがその生態的成功の一因であると考えられている。 多様な形態を示す網の中で、円網はその複雑な構造と造網行動の興味深さにより、多くの研究の対象となっている。今回のセミナーでは、 1)円網の形態に餌捕獲効率を高める機能があること、2)状況に応じて網形態が調整されていること、の二点を、 円網に広く見られる共通デザインである上下非対称性という現象を題材にして示す。次に、 1)環境情報に対する需要が高い状況では網のサイズが大きくなること、 2)クモが網上で餌を待つ時に網の糸を引っ張ることで餌発見効率が変わること、 の二点から、 円網には環境認知を行なうための体外に拡張された感覚器というもう一つの機能があることを示す。