日時:2021年5月21日 (金) 16:00-17:30
場所:オンライン開催
生物多様性保全に貢献するMuseomics |
中濱直之 講師(兵庫県立大学 自然・環境科学研究所 講師、兵庫県立人と自然の博物館 研究員) |
国内外の自然史博物館には膨大な数の生物標本が収蔵されている。標本に含まれる遺伝情報は以前から注目されてきたが、これら標本中の遺伝情報は劣化が深刻なことから解析が困難であった。2010年代以降にはハイスループットシーケンサーによる解析が主流となり、近年はMuseomicsとして国際的に大きな注目を浴びるようになってきている。
標本から過去の遺伝情報を取り出すことは、様々な研究分野にとってブレイクスルーとなりうるだろう。特に、生物多様性の劣化が著しい今日において、人間による影響がより少ない過去の情報は、生物多様性を理解・保全するうえで非常に重要である。このようにMuseomicsは今後も大きな成長が期待されるものの、現状では国内の研究は非常に少ないのが現状である。この状況を打開するため、演者は、生物多様性保全という観点からMuseomicsについて研究を進めてきた。本セミナーでは、これまでに実施してきたMuseomicsの研究事例を紹介するほか、今後の展望についても議論したい。 |