日時:2015年4月23日 16:00-
場所:京都大学農学部総合館 W306
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源利文博士(神戸大学大学院 人間発達環境学研究科) |
<水域の生物相を明らかにする環境DNA分析手法>
水域の生物相を把握するためには、網や釣りなどによって直接捕獲したり、スキューバダイビングによって目視観察したりといった手法が一般的に用いられてきた。このような基本的な手法は有用であるが、調査者の能力に依存する部分も大きく、広域における継続調査が困難であった。近年、このような手法を補完する手法として環境DNA分析手法が発達している。ここでいう環境DNAとは水サンプル中に存在するDNAの総称であり、微生物などの生物体そのものや魚の糞などに由来する生体外のDNAなどを含む。環境DNA分析の場合は現場での作業が水を汲むだけであるという簡便さから、広域/継続調査がしやすいという利点があり、その有用性が注目されている。水域における魚類や両生類といった大型生物の環境DNA分析には、特定種の在不在やバイオマスを見積もる種特異的検出/定量手法と、メタバーコーディングによる網羅的検出手法のふたつのアプローチがある。本セミナーでは二つのアプローチについて概説したうえで、演者らの成果を中心に近年の環境DNA分析手法の発展について述べる。また、環境DNA分析の今後の展開について参加者らと議論したい。 |