日時:2013年10月25日 16:00-
場所:京都大学農学部総合館 W506
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幸田良介博士 (大阪府立環境農林水産総合研究所) |
大型草食獣はその採食行動を通じて生態系全体に影響を与えることから生態系エンジニアとしてとらえられている。
その中でも近年世界各地でシカの個体数が増加していることから、シカと森林植生を対象とした多くの研究がなされてきた。
一方でこれまでの研究の大半はシカ排除柵を用いて柵の内外というシカ密度の両極端のみを比較したものであり、
実際にシカ密度が増加していく中でどのように植生への影響が生じていったのかを満足に検証できていなかった。
鹿児島県屋久島にはシカ密度増加前からの植生のモニタリングデータが蓄積されており、 また島内各地でシカ密度が大きく異なることから、様々なシカ密度間での比較を行なうことが可能である。 そこで本発表では屋久島低地照葉樹林を対象に様々なシカ密度間の比較を行うことで、 森林植生の種組成や多様性とシカ密度との関係を把握するとともに、シカが森林植生に与える影響を変動させるメカニズムを解明することを目的として行ってきた研究結果を紹介する。 発表では大阪府でのシカ問題についても紹介し、各都道府県における取り組みについても議論したい。 |