過去のスペシャルセミナー情報

日時:2012年6月15日 16:00-
場所:京都大学農学部総合館W502号室



芦生:シカの食圧下における希少植物の現状
福本 繁氏
 「ヨモギでさえ希少種」と言われるほどに貧相化した芦生の下層植生、シカの採食によって大型の草本がどんどん消失している。 この前まで当たり前のように群生していたミカエリソウやヒヨドリバナもほとんど見ることができなくなった。かつて研究林内に 分布していたとして記録されている希少植物の内、現存する種はどこにどれだけあり、既に消失してしまった種はどれだけ あるのか?消失してしまったことを証明するのは不可能だが、広域を探査することにより現実に近い状況が把握できるはずで ある。  シカの採食圧のほか、ナラ枯れによる着生植物の消失も看過できない状況であり、まだ調査途中ではあるが 「記録にある維管束植物の内2割くらいが消失し、2割くらいが消失の危機にある」というのが現状ではないかと思われる。 これは既に不可逆的なレベルまで破壊されていることを示しており、早急に対策を講じなければならない。  素晴らしい芦生の自然と共に、3年余り調査してきた結果を中間報告的に紹介したい。