過去のスペシャルセミナー情報

日時:2017年10月20日 16:00-
場所:京都大学農学部総合館 W322号室


「異なる種子散布能力をもつクサトベラの果実二型 ―維持機構と分子機構の解明に取り組む―」
栄村奈緒子 博士 (京都大学生態学研究センター)
長距離分散能力をもつ生物が島に定着後、その能力を失い、新たなニッチに適応することで、多様性が生じる現象は島の生物に共通した特徴(アイランド・シンドローム)の一つである。長距離散布をもたらす媒体の一つとして、海流があげられる。  海岸植物クサトベラ(キク目クサトベラ科)には、中果皮のコルク化の有無から、海流散布能力をもつ型(コルク型)ともたない型(果肉型)の表現型が存在する。コルク型は砂浜、果肉型は海崖で出現頻度が高いことから、生育環境ニッチが異なっている。クサトベラの二型における維持機構と分子機構の解明に向けて、これまでに集団遺伝学的解析、交配実験、解剖学的観察、遺伝子発現量解析などを進めている。本セミナーではこれらの結果について報告する。