過去のスペシャルセミナー情報

日時: 10月12日 (金) 15:00-17:00
場所:場所:京都大学北部キャンパス 農学部総合館 W302


アブラナ科植物のRNA-Seqによるウイルス感染と相互作用の解析
神谷 麻梨 博士(龍谷大学 食と農の総合研究所 博士研究員|京都大学生態学研究センター 協力研究員)
植物ウイルスは宿主の生理変化や枯死を引き起こし、植物の個体群動態に影響を与えうる。一方で、これまでの植物ウイルスの研究は農作物の病害を中心に発展してきたため、自然環境下における知見はごく限られている。植物ウイルスには細菌や真菌のrRNAのように全種で共通して保存されている配列が存在しないため、宿主内に感染するウイルス群集を網羅的に解析することは困難であった。そこで私たちは、植物ウイルスの多くがRNAゲノムを持つこと、さらにDNAゲノムの種も複製時にRNAを合成することに着目し、RNA-Seqを用いてウイルス感染の網羅的かつ正確な同定を実現する手法を確立した。この手法を用いて、ハクサンハタザオ(Arabidopsis halleri subsp. gemmifera)を中心に、アブラナ科野生植物におけるウイルス感染を調査している。ハクサンハタザオはシロイヌナズナに近縁であるため高品質のゲノム配列情報が使用可能であり、これを用いてウイルス感染に対する宿主の遺伝子発現応答を解析することができる。セミナーでは、これらの解析で明らかになった、アブラナ科野生植物におけるウイルス感染状況と、ウイルス―宿主間、ウイルス種間相互作用について紹介する。